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プロローグ |
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浸った。浸りきった。ラグビーに浸りきった。 楕円のボールを持って走る陶酔感。 夢中でタックルを決めたあとの心地よい肩の痛み。 練習をさぼってグラウンドの横を流れる川で蟹を獲って遊んだこと。 真夏の氷水のうまさ。夜中の神社の孤独なトレーニング。 大学時代、先輩にしぼられて、悔しくて悔しくて、布団をかぶって大声で泣いた。 試合に負けて、やけ酒を飲み、上野の不忍池に飛び込んだこともある。 キャプテンになって、みんなをまとめるはずが、 いつの間にか孤立して人間不信に陥りかけた。 手術。リハビリ。衰えとの闘い。 そして栄光。 大学選手権優勝。神戸製鋼の日本一。 ジャパン。ワールドカップ。オックスフォード大学への留学。バーバリアンズ入り。 思えば、なにもかもが一瞬一瞬の積み重ねだった。 私は一瞬を夢中で過ごし、そして感動を得た。 人間は、過去にも未来にも生きられない。「いま」、「ここ」を生きるだけである。 グラウンドはその象徴だ。 たったひとつしかないボールを追わなければならない。 いくら頭で考えてもボールは獲れない。 瞬間の勝負。年齢や立場の差などそこではなんの意味も持たない。 一般社会とは隔絶した三次元の空間。 ただちに行動するのみである。 いま、ここに、どれだけ浸りきれるか。 浸りきれば、感動を得られ、感性は育てられる。 「何事にもハッと感動しながら生きていこう」 ラグビーはそのことを教えてくれた。 「楕円球の詩 自伝・林敏之」より |
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