活 動活動記録
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妹尾 武さんからの手紙

2002年
妹尾 武さんと言う青年からお手紙を頂きました。
素敵な手紙だったのでご本人の許可をもらってホームページに掲載致します。
ご本人とは東京で出会って何度か飲みに行きました。
これからの活躍が楽しみです。
皆さんも応援してあげてください。


   拝啓 林敏之様


初めまして。突然の便り失礼します。
少し前にメールにて送り先を教えていただいたのですが 遅くなってしまいました。
僕は現役時代から神戸製鋼を応援させてもらっていてラグビー観戦が好きなのはもちろんなのですが、 それと同時に僕の中で林さんという人間そのものに興味を持ち始めました。
それはもちろん強い選手だからとか、たくさんのキャップ数とかも含めてですが、 時が経つうちに、それよりむしろ林さんの生き様というか、 林さんが眼を向けているものの先というか、そういうものを幾つもの試合の中で感じ取りたいという気持がどんどんふくらんでいきました。
林さんがくれた、数えきれない感動や勇気は、林さんが書かれた 「楕円球の詩」を読むことによってさらに高まり、いくつものシーンが 僕の中で繰り返され、言葉では伝えきれない程、心を動かされました。
ここらへんで自己紹介させてください。
僕は神戸生まれで仕事は 作曲、編曲、演奏をやっております。
実家は今も神戸ですが ぼくは東京に在住しております。
今回、なぜこのようにCDを送らせていただいたかというと、 このなかのゴスペラーズ(ご存知ですか?)という五人のコーラスグループが 歌っている“永遠に”というシングルがありますが、 僕はこの曲の作曲をしました。
林さんが現役を引退される事を知ったときに、 とにかくいろんな気持が押し寄せて、まるで自分の事のように涙があふれました。
己の極限まで肉体を追いつめながら走り続けた林さんに ありがとうとお疲れ様の気持でいっぱいでした。
そしてその次のシーズン、林さんのいない秩父宮で試合を見ていたらいないはずの林さんの姿が風になってフィールドを駈けぬけていくような気がしました。
そのときふと“あなたの風になってすべてを包んであげたい”という 言葉とメロディーが僕のなかに浮かびました。
そのとき、この曲はすごくいいものになるかも知れないという気持がありました。
しかしまだその時点では、頭の中にしかなかったので何ヶ月かあたためながら ようやく他の部分を完成させました。
そしてその当時はまだそんなに売れていなかったゴスペラーズに この曲を歌ってもらおうと思い、彼達とはそれ以前から一緒に 曲作りの合宿とかでサポートしていたので、仮歌をレコーディングしました。
さびを五人のコーラスでやると、圧倒的な力強さがあり 思ってた以上のものが出来上がり、次のシングルはこれでいこうということになったのです。
彼達もその時デビューして数年、そろそろ売れなければソニーからリストラかもと レコード会社の人に半分本気で言われていたので、僕の曲が選ばれたということで 嬉しい半面、結構プレッシャーでした。
もしかしたら彼達の運命を 左右することになりかねませんから。
でもそのなかにも僕には、この曲ならきっと……… という気持もありました。
そうこうするうちに、本番の歌入れも終わり、1枚のシングルが完成しました。
そして発売、裸一貫、タイアップなしの 状態でスタートしたのです。
それからラジオや有線でじわじわと広がり、 結果、44週間にもわたって、オリコンのチャートを駈けぬけました。
彼等にも僕にとっても初めての“ヒット曲”が生まれたのです。
ここで僕が言いたいのは、もし林敏之さんというひとりの人間が 存在していなければ、この曲も生まれなかったし、 彼等のブレークも無かったかもしれません。
とにかくお礼が言いたかったのです。
林さんはいろんな人にたくさんの感動や勇気を与えてくれました。
僕もそれを受け取ったなかの一人だと、 僕のなかの“4”はいつまでも林さんただ一人です。
本当にどうもありがとうございました。

追伸 先日発売になった高橋真理子さんのシングルも僕の曲です。     良かったらお聴きになってください。

感謝を込めて             
 “あなたの風になってすべてを包んであげたい”  
                       妹尾 武

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